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2011年4月23日 (土)

「日本辺境論」読みました! ⑧

今回はこの本です。

Img_6599   

「日本辺境論」。筆者は内田樹(たつる)氏。

出版された当初から話題の絶えなかった本でしたが、

如何せん、「日本」「辺境」としているところが、

日本をこよなく愛する私としては、あるまじき論

(ちなみに広辞苑で「辺境」をひくと…「中央から遠く離れた国ざかい。またはその地。」となっています。)

ということで、静かにスルーしていたのですが、本の帯に釣られました…

そう、写真の白抜きの文字です

 

「養老孟司さん絶賛」(そっちかい!)

 

私、養老孟司さんの、「考えるヒト」を読んで以来のファンです。

ですから、この1行はスルーできなかった

 

というわけで、本題ですが、

読了後、拍手喝采、アプローズ。スタンディングオベーションをもって

この本を閉じました。

それほどに、良書です。すごい本でした

 

1章では、日本を「辺境」とすることで、日本の持つ、しなやかさ、賢さ、

裏を返せば、ずるさ、ふまじめさ、を鋭く指摘しています。

例えば、聖徳太子の外交について、

それから、律令制度を取り入れながらも、科挙と宦官(かんがん)を取り入れなかったこと、

足利義満の外交についても。

最近では、9条と自衛隊の問題。これはすごい切れ味でした。

「非核三原則」については、

「『アメリカにいいように騙されているバカな国』のふりをすることで、

非核三原則と、アメリカによる核兵器持ち込みの間の「矛盾」を糊塗(こと)にした。

ふつう、こんなことはしません(というより、できません)。

仮にも一独立国が『他国に騙されているのがわかっていながら、

騙されたふりをしていることで、もっと面倒な事態を先送りにする』

というような込み入った技は。でも、日本人にはできる。」

と。どこを読んでも、目からウロコです。

 

あとは、感想というより、私の琴線に触れた箇所を引用で。

 

「人が妙に断定的で、すっきりした政治的意見を言い出したら、

眉に唾をつけて聞いたほうがいい。これは私の経験的確信です。

というのは、人間が過剰に断定的になるのは、たいていの場合、

他人の意見を受け売りしているときだからです。

自分の固有の意見を言おうとするとき、それが固有の経験的厚みや実感を伴う限り、

それはめったなことでは「すっきり」したものにはなりません。

途中まで言ってから言い淀(よど)んだり、一度言っておいてから、

「なんか違う」と撤回してみたり、同じところをちょっとずつ言葉を変えて

ぐるぐる回ったり…そういう語り方は「ほんとうに自分が思っていること」

を言おうとじたばたしている人の特徴です。」

  

 

「もし、ものを学ぼうとしている人に、

『就いて学ぶべき師を正しく選択できるように、師たちを客観的に適正に格付けできる

予備的能力』を要求したらどうなるでしょう。

そんな予備的能力を要求されたら、私たちは一生学び始めることができないでしょう。

学び始めるためには、『なんだかわからないけれど、この人についていこう』

という清水の舞台から飛び降りるような覚悟が必要だからです。

そして、この予備的な考査抜きで、いきなり『清水の舞台から飛び降りる覚悟』

を持つことについては、私たち日本人はどうやら例外的な才能に恵まれている。」

 

 

「学びは学んだ後になってはじめて自分が学んだことの意味や有用性について

語れるようになるという順逆が転倒したかたちで構造化されています。

私たちが学ぶのは、学ぶとどんな『いいこと』があるかが確実に予見されているから

ではありません。学ぶことによって、学ぶ前にはそのようなものが

この世に存在することさえ知らなかった『いいこと』が

事後的に私たちの知に登録されてゆくのです。」

 

 

「『学ぶ力』というのは、あるいは『学ぶ意欲(インセンティヴ)』というのは、

『これを勉強すると、こういう『いいこと』がある』という報酬の約束によって

かたちづくられるものではありません。

その点で、私たちの国の教育行政官や教育論者のほとんどは深刻な勘違いを

犯しています。子どもたちに、『学ぶと得られるいいこと』を、

学びに先立って一覧的に開示することで学びへのインセンティヴが高まるだろうと

彼らの多くは考えていますが、人間というのはそんな単純なものではありません。

『学ぶ力』『学びを発動させる力』はそのような数値的・外形的なベネフィットに

反応するものではありません。

『学ぶ力』とは、『先駆的に知る力』のことです。

自分にとってそれが死活的に重要であることをいかなる論拠によっても証明できない

にもかかわらず確信できる力のことです。

ですから、もし『いいこと』の一覧表を示さなければ学ぶ気が起こらない、

報酬の確証を得られなければ学ぶ気が起こらないという子供がいたなら、

その子供においてはこの『先駆的に知る力』は衰微しているということになります。」

  

と、少し取り出しただけでもこんな感じです。

 

それから、

「日本語が漫画脳を育んだ」話(これは養老孟司さんの受け売りと言っていました。)や、

日本語の「真名(まな:漢字)」と「仮名(かな:ひらがな・かたかな)」

というハイブリット文字についての話など、

本当に、鋭い切れ味でユーモアのある知的な話が満載でした。

 

これは、本当にお勧めの本です。

特に高校生以上にも読んでもらいたい本ですね。

 

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